仮面浪人なう

今週のお題「受験」


     今週の、なんて枕詞がついてしまうと毎回お題に合わせてブログを書いているみたいだが、今回が初めてだ。なんならはてブに記事を投稿するのも初めて。

     受験の思い出、というか今でさえもまだ受験の最中にある私について吐き出したいと思う。そうすれば自分の頭の中も整理がつくかもしれないから。


     私はそれなりの中高一貫校で、俗に深海魚と言われる部類の生徒だった。授業は上の空に落書きをしているか夢うつつか。自主的な勉強なんて中高通してテストの直前にしかやったことがないし、当然学年順位は下から数えた方が早かった。成績不良を心配した親に通わされた様々な塾(中高一貫向けから個別から地元の個人塾まで)は数週間かそこらで大体やめてしまった。自分は学校で大して出来る方ではないと自覚しながらも、しかしながらこの学校の生徒であるというだけで歪なプライドを肥大化させていたように思う。中学時代は呑気に趣味や部活に耽っていれば良かった。受験はまだ遠く、自分の身分は保証されていた。だが、高校生になるといよいよこの学校を離れた先の未来を考えざるを得なくなり、部活の幹部の重圧も相俟って、日々の焦燥感の中に精神が磨耗していった。模試を受けるようになって、周りの話題が講習のことになって、誰々が凄い成績を取っただとかの噂話を聞いて、次第に進路の方が頭をもたげるようになり、趣味や部活は現実逃避の様相を帯びていった。 母校では、高2の秋から冬に高校生が部活を引退する。文化祭を終えて、幹部から解放されて、そしてそのままなし崩し的に受験態勢へと突き進んだ。突き進むしかなかった。もう、大義名分のある逃避だった部活は終わってしまったから。趣味でもあった絵画は時間を浪費している罪悪感に耐えきれなくなって自然とやらなくなっていた。

     さて、私は高校1年生の頃から、模試の志望校の第一志望には必ず、東京大学を記入していた。当時の私には特に決まった志望校がなかったから、取り敢えず1番上を目指しておけば後で潰しが利くだろうという安易な考え故だ。少女漫画的な白馬の王子様を大学に望んでいた。運命的な大学、学部、学科と出会うんじゃないかと恥ずかしながら呑気に考えてOCに行ったり、大学便覧をパラパラめくったりしていた。残念ながら、現実とは非情なもので、曲がり角で出会った大学に一目惚れそこから始まる薔薇色のキャンパスライフを目指して〜なんてことは無かった。いや、あったのかもしれない、一校だけ。それが今も私を悩ませる種なのだが。

     ともかく、高校3年になるまで運命の大学に出会えなかったが故に、ひとまず志望校は東大に据えた。しかし、その一方で、私の心はひどくある大学に惹かれてもいた。京都大学だ。もともと自由の学府だとか、変人の巣窟だとかのキャッチコピーに胸をくすぐられていたが、一人暮らし必至なため、いまいち踏ん切りがつかなかった。しかしながら、近い先輩が京都大学に進学したことを知って、その選択肢は俄然現実染みて感じられた。

      結局、私は高3の1年間、東京大学京都大学の間で心が揺れ続けた。そして、最終的に東京大学を受け、撃沈し、今に至る。何故、東京大学を選択したかというと、模試の判定で東京大学の方が良かったことと、腐れ縁の同級生や部活の同輩が東京大学を志願していたということに尽きる。人間、安心できる選択肢へと流されてしまうものだ。いやまあ、それで撃沈したんだけれども。後期試験には死んだ顔で臨み、合格など望むべくもないと感じたが、何故か受かってしまった。そうだ。受かってしまったのだ。有難がるべきところなのだろうが、むしろ浪人の機会を奪われたような気さえした。両親は浪人に対して否定的だったし、流されるように手続きを済ませ、そのまま入学したが、いまいちこの大学の学生になる気分にはなれなかった。きっと他人が見たら、それで十分じゃないかと言うんだろう。どうせ元は進学校の底辺を揺蕩う深海魚だ。それが現役で国立のそれなりの所に行けたんだから上々じゃないかと。実際、卒業生全体の進路でみたら割といい方ではあったし、私より成績が上だったのに、受験が上手くいかなかった人もいる。それでも、snsを見る限り彼女らは楽しく大学生をやってるようだった。そういう人に言わせれば私は愚かなのかもしれない。だけど、私はまだ、志望校を追いたかった。一年前は思ってもみなかったような結果を出せるようになっていた自分をもっと信じてみたかった。

     そうしてまた、今に至るのだが。ここまで来ても、未だに決めきれないままでいる。大学生をしながら受験生を続けるというのは精神的になかなか辛いもので、誤魔化すための嘘を沢山つくようになったし、もう戻ったところでまともな学生生活は望めやしない。だからなんとしてでもここで決めたい。どちらもA判定は出せるようになった。あれからも自分は成長している。センター試験も受験に申し分ないぐらいには取れた。※

     心の何処かで、自分の頭がピーキーな性能で、ここしかないと思える選択肢が出来ないかなと望む気持ちがあった。それか家の急な事情で引っ越さざるを得ないとか。つまりは外的要因で自分の進む道が決定されてほしかったのだ。でも結局、そんなことは無かったし、自分の道は自分で選び取らなきゃいけない。私は随分とそれを先延ばしにして来たけど、もうどうしようもない。

    やっぱり、天の声に頼っちゃダメかなあ、なんて弱音を吐きたくはなる。でももう逃げられない。

     確実性、将来性、金銭面………何を重視すれば良いんだろう。あああああ

     どういう選択をしたかは全部終わったら書く。多分。頭の中は整理出来たけど、より一層分からなくなった。どうしてくれる自分。


※地歴満点だったいえーい